こどもの「第二の家」を地域につくる——放課後の居場所支援に携わるゲストを迎えて【ラジオ出演報告】

伊波さんと共にこどもの居場所について考えたラジオ出演報告のアイキャッチイラスト

学校が終わったあと、こどもたちはどこへ帰るのでしょうか。

自宅に帰るこどももいれば、習い事や部活動へ向かうこどももいます。その一方で、家とは別に「ただいま」と帰ることのできる場所を必要としているこどももいます。

2026年7月1日に放送されたラジオ番組「Supporters’ Web Academy みんなで描こう支援のミライ」では、沖縄県うるま市で放課後の居場所支援に携わる伊波憲汰さんをゲストに迎えました。

番組初のゲスト回となった今回は、伊波さんが働く居場所の日常や、現在の仕事につながる幼少期・学生時代の経験について伺いました。

話を聞いていくと見えてきたのは、特別なプログラムだけではない、こどもたちの暮らしそのものを支える居場所の姿でした。


目次

遊び、食べ、話し、安心して帰っていく場所 

伊波さんが働く放課後の居場所には、小学1年生から中学3年生まで、幅広い年代のこどもたちが通っています。

学校が終わると、こどもたちは居場所へ帰ってきます。

友達やスタッフと遊ぶこどももいれば、宿題に取り組むこどももいます。みんなで食事をし、必要に応じてお風呂に入り、夕方には「また明日」と言って帰っていきます。

一日の流れだけを見ると、とてもシンプルです。

しかし、そのシンプルな毎日こそが、こどもにとって大きな意味を持ちます。

「おかえり」と迎えてくれる人がいること。今日あった出来事を話せること。何かをしなくても、その場にいてよいと思えること。

番組の中で、この居場所は「第二の家のような場所」と表現されていました。

こどもの居場所というと、学習支援や体験活動など、目に見える取り組みに注目が集まりやすいかもしれません。

けれども、その土台にあるのは、毎日を安心して過ごせることです。

遊びや食事、何気ない会話を重ねる中で、「ここにいて大丈夫」と感じられる。その感覚が、こどもの安心や次の一歩につながっていきます。


年齢が違っても、同じ場所で過ごす 

居場所に通うこどもたちは、小学校低学年から中学生までと年齢に幅があります。

ひらがなを覚えている途中のこどもがいる一方で、高校受験を控えた中学生もいます。興味のある遊びも、抱えている悩みも、それぞれ異なります。

年齢差があるからこそ、関わりが難しい場面もあります。

それでも、こどもたちは同じ場所で遊び、ご飯を食べ、日常を共有しています。

年上のこどもが年下のこどもを気にかけることもあれば、年齢に関係なく一緒になって遊ぶこともあります。

学校や学年によって分けられることの多いこどもたちが、異なる年代の人と自然に関われることも、地域の居場所ならではの特徴です。


ニワトリの卵から生まれる、小さな学び 

居場所の庭では、ニワトリも飼育されています。

朝になると小屋から外へ出し、庭の中を自由に歩かせます。以前は一日に複数の卵を産むこともあり、その卵をゆでたり焼いたりして、こどもたちと一緒に食べていたそうです。

ニワトリが庭を歩き、虫を探して食べること。そして卵を産み、それを居場所のみんなで調理すること。

そこには、机に向かう勉強とは違う、日常の中の学びがあります。

「今日は卵を産んでいるかな」「ニワトリは何を食べるんだろう」「この卵をどうやって食べようか」

大人が答えを用意しなくても、こども自身が見つけ、疑問を持ち、誰かと話しながら知っていくことができます。

こうした体験は、特別なイベントではありません。

日常の中に自然や生き物があり、好奇心が動いた瞬間をその場の人と共有できる。それもまた、こどもの居場所が持つ豊かさの一つです。


虫を追いかけ、学校にたどり着かなかった少年 

番組では、伊波さん自身の幼少期についても話題になりました。

伊波さんは、虫や生き物が大好きな、好奇心旺盛なこどもだったそうです。

ある朝、学校へ向かう途中で、見たことのないほど光っている虫を見つけました。

「すごい虫がいる」

夢中になって弟と虫を探しているうちに時間が過ぎ、学校からは「まだ登校していない」と保護者へ連絡が入りました。

家からわずか50メートルほどの場所で虫を追い続けていた伊波さんは、最終的に保護者に連れられ、2時間目から登校することになったそうです。

大人から見れば、「学校に行かずに何をしているのだろう」と心配になる出来事です。

けれども、伊波少年の中では、目の前に現れた虫が世界で最も重要なものになっていました。

こどもの行動は、表面だけを見ると「落ち着きがない」「話を聞いていない」と映ることがあります。

しかし、その奥には、「もっと見てみたい」「これは何だろう」「誰かに伝えたい」という、強い興味や探究心が隠れているかもしれません。

伊波さんのエピソードからは、こどもの行動をすぐに評価するのではなく、その行動を生み出している気持ちに目を向けることの大切さが伝わってきました。


「自分にもできる」と思えたスポーツ経験 

小学生の頃、伊波さんは野球部に所属していました。

野球は好きだったものの、試合にはなかなか出られず、長く補欠を経験します。転機になったのは、罰として行われた厳しいランニング練習でした。

ほかの部員が疲れていく中で、伊波さんは上位で走り続けることができました。そこで初めて、「自分は走ることが得意なのかもしれない」と気づきます。

中学校では陸上部をつくろうと仲間を集めたものの、事情があって実現せず、体力づくりのためにバスケットボール部へ入りました。

競技経験はありませんでしたが、持ち前の体力を生かして試合に出場します。

少しずつプレーができるようになり、「経験がなくても、自分が参加できる場所がある」と感じられたことがうれしかったと振り返ります。

その後、高校では念願だった陸上競技に挑戦し、県大会の決勝まで進みました。

最初から得意なことが分かっていたわけではありません。うまくいかなかった経験や、偶然参加した練習の中で、自分の強みに気づいていきました。

こどもにとって、自分の得意なことを見つけられる場所は大切です。それは、成績や順位だけで評価される場所とは限りません。

「ここでは自分も参加できる」「自分にも役割がある」「昨日より少しできるようになった」

そう感じられる経験が、こどもの自信を支えていきます。


こどもと関わる仕事を選んだ原点 

伊波さんは、親戚や近所の年下のこどもと遊ぶ機会が多く、昔からこどもと関わることが好きだったそうです。

自分が知っていることを教えたときに、こどもが驚いたり、喜んだりする。その反応を見ることに楽しさを感じていました。

学校では、記憶に残る面白い先生との出会いもありました。

「自分も、こどもの記憶に残る人になりたい」

そう考え、教員を目指すようになります。

大学ではこどもについて学びながら、こどもの居場所でのボランティア活動にも参加しました。そこでの経験が、現在の放課後の居場所支援へとつながっています。

伊波さんの歩みは、最初から一本の道として決まっていたわけではありません。

虫に夢中になった幼少期。スポーツの中で自分の強みを見つけた経験。年下のこどもと遊び、教えることを楽しんだ時間。大学時代のボランティア活動。

一見ばらばらに見える経験が重なり、現在の「こどもが安心して過ごせる場所をつくる」という仕事につながっています。


支援する人の原体験が、居場所の空気をつくる 

今回の放送では、伊波さんが働く居場所の活動だけでなく、伊波さん自身がどのようなこども時代を過ごしてきたのかが語られました。

支援者も、かつては一人のこどもでした。

夢中になりすぎて失敗したこと。得意なことが分からず悩んだこと。誰かに受け入れてもらい、「自分もここにいていい」と感じたこと。

そうした経験は、今目の前にいるこどもを見るときのまなざしにも影響します。

こどもの行動をすぐに否定せず、その背景にある興味を想像すること。得意なことを見つけられるよう、さまざまな機会を用意すること。初めてのことでも参加できる場をつくること。

伊波さんが歩んできた道と、現在の居場所の姿には、共通するものがありました。

こどもの居場所とは、単に時間を過ごすための場所ではありません。

一人ひとりの興味やペースを受け止めながら、そのこどもが自分らしくいられる時間を積み重ねていく場所です。

後半では、伊波さんが考えるこどもの居場所の役割や、支援の現場で大切にしていることについて、さらに深掘りしていきます。

ぜひ続けてご覧ください。


◾ 動画のご案内

🎙【タイトル】

Supporters’ Web Academy みんなで描こう支援のミライ(2026年7月1日)

📌今回の放送では、沖縄県うるま市で放課後の居場所支援に携わる伊波憲汰さんを迎え、居場所の日常や支援につながる原体験について伺いました。 


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