こどもが「また来たい」と思える居場所とは──支援現場で考える関係づくりの技法【ラジオ出演報告】

こんにちは、Supporters’ Supporterの安次富です。

FM那覇の番組「Supporters’ Web Academy みんなで描こう支援のミライ」の第26回放送が2026年5月20日に配信されました。

こども支援や居場所支援の現場では、「こどもと良い関係を築くこと」が大切だとよく言われます。しかし、そもそも「良い関係」とは何でしょうか。

こどもが大人の言うことをよく聞き、トラブルが起きない状態でしょうか。あるいは、いつも笑顔で楽しそうに過ごしている状態でしょうか。

今回の放送では、一般社団法人みんなのももやまこども食堂の福里さんとともに、こどもが自然体でいられる居場所づくりや、支援者としての関わり方について考えました。

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「何も起きない場所」が、良い居場所とは限らない

支援現場では、こども同士のけんかや言い合い、大人への反発などが起こることがあります。

もちろん、けんかやトラブルそのものを肯定するわけではありません。しかし、何も起きないことだけを目指してしまうと、こどもたちが「いい子」でいることを求められすぎてしまう場合があります。

今回の放送では、良い関係とは、こどもが自分を押し殺して過ごすことではなく、その子らしく、自然体でいられる関係なのではないか、という話になりました。

こども同士が言い合いをしたり、思い通りにならずに葛藤したりする場面には、その子の考え方や感じ方、人との距離感が表れます。

支援者にとって大切なのは、表面的に場を静かに保つことだけではなく、そのやり取りの奥にある気持ちや背景を見ようとすることなのだと感じました。


支援者として関わる時間と、人として関わる時間

放送の中で印象的だったのが、「支援者として関わる視点」と「人として関わる視点」のバランスについての話です。

こどもと直接話している時、支援者は必ずしも常に“支援者モード”でいるわけではありません。目の前のこどもと笑ったり、驚いたり、「それは違うと思う」と伝えたりする中で、人と人としての関わりが生まれます。

一方で、少し離れて見ている時には、「今この子はどんな状態なのか」「次にどんな関わりが必要か」「この関わりは支援として適切か」と考える視点も必要です。

つまり、こども支援における関係づくりでは、人としての自然な関わりと、支援者としての観察や判断の両方が求められます。

この切り替えは簡単ではありませんが、こどもと向き合う現場では非常に重要な感覚です。


まずは「来たくなる場所」であること

良い関係づくりの前提として、今回の放送では「こどもがその場所に来たいと思えること」の大切さも話題になりました。

親や支援者が「行かせたい」と思う場所であっても、こども自身が「行きたくない」と感じている状態では、安心できる関係を築くことは難しくなります。

居場所支援において大切なのは、こどもにとってその場所が、義務や訓練の場ではなく、「また行きたい」「ここにいてもいい」と思える場所になることです。

そのためには、最初の関わり方がとても重要です。

よく話すこどもには積極的に声をかける。少し距離を取りたいこどもには、無理に踏み込まず、近くにいるこどもとの会話や好きなものを手がかりにする。聞かれることが苦手なこどもには、支援者自身の好きなものを話してみる。

そうした小さな工夫の積み重ねが、こどもにとっての安心感につながっていきます。


「好きなもの」だけでなく、「話せるきっかけ」を探す

こどもとの関係づくりでは、好きなものを聞くことがよくあります。

しかし、すべてのこどもが自分の好きなものをすぐに話せるわけではありません。「別に好きなものはない」と答える子もいます。

そんな時に大切なのは、好きなものを無理に聞き出すことではなく、その子が少しでも話せるきっかけを探すことです。

時には、嫌いな食べ物や苦手なことの話で盛り上がることもあります。重要なのは、話題そのものがポジティブかどうかではなく、その子が「ここでは話してもいいかもしれない」と感じられることです。

笑顔になること、少しほっとすること、あるいは何かに一緒に没頭すること。

こどもによって安心の形は違います。だからこそ、支援者には一人ひとりのテンポや距離感を見ながら関わる姿勢が求められます。


個別の関係から、集団の関係へ

居場所では、支援者とこどもの一対一の関係だけでなく、こども同士の関係も大切です。

放送では、個別の関わりから集団へつなげるタイミングについても話しました。

たとえば、支援者とあるこどもが話している時に、別のこどもが自然にのぞき込んでくる。その時に違和感なく話題を振ることができ、相手のこどもも受け入れられそうであれば、関係が少し広がるきっかけになります。

ここで大切なのは、無理につなげることではありません。

支援者が一方的に「一緒に遊びなさい」と促すのではなく、こども同士が自然に混ざり合える空気を整えること。場合によっては、ひとりで過ごせることを保障することも、同じくらい大切です。

こどもがその場所に少しずつ慣れ、自分のペースで他者と関われるようになる。そのプロセスを支えることも、居場所における関係づくりの大切な役割なのだと感じました。


おわりに

今回の放送を通じて、こども支援における関係づくりは、単に「仲良くなること」ではないと改めて感じました。

大切なのは、こどもが自然体でいられること。その子のテンポや距離感を尊重すること。
そして、支援者自身も人として関わりながら、必要な場面では支援者としての視点に立ち返ることです。

こどもが「ここにいてもいい」と思える場所は、一度で完成するものではありません。

日々の小さな声かけや、何気ない会話、少し離れて見守る時間の積み重ねによって、少しずつ形づくられていきます。

こどもたちが安心して過ごし、自分らしく他者と関わっていける居場所をつくるために、私たち支援者もまた、関係づくりについて学び続けていきたいと思います。


◾ 動画のご案内

🎙【タイトル】

Supporters’ Web Academy みんなで描こう支援のミライ(2026年5月20日)

📌今回の放送では、居場所支援における「良い関係」とは何かをテーマに、こどもが自然体でいられる関係づくりや、支援者としての関わり方について考えました。


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