こどもの居場所では、毎日決まって来る子もいれば、来たり来なかったりする子もいます。
先週は来ていたのに、今週は来ない子。
しばらく顔を見なかったけれど、急にふらっと来る子。
「行く」と言っていたのに来られなかった子。
何週間か空いてから、少し気まずそうに戻ってくる子。
スタッフとしては、心配になります。
「何かあったのかな」
「久しぶりに来た時、どう声をかけたらいいんだろう」
「毎回来られないなら、どこまで関わればいいんだろう」
そんな風に迷うこともあると思います。
特に、久しぶりに来た子を前にすると、つい「なんで来なかったの?」と聞きたくなることがあります。もちろん、それは責めたいからではなく、心配しているからこその言葉です。
でも、こどもにとっては、その一言が「休んだことを責められている」と感じられることがあります。
参加頻度が不安定な子への関わりで大切なのは、“来ない理由”を急いで確認することよりも、“来た日”を安心できる時間にすることです。
毎回来られることだけが、居場所とのつながりではありません。
たまに来る。少しだけいる。話さずに過ごす。途中で帰る。
そうした不安定さの中にも、その子なりのつながり方があります。
大人ができるのは、その揺れを責めることではなく、戻ってきた時に「また来てもいいんだ」と思える空気を用意しておくことです。

参加頻度が不安定になる理由は、一つではない
参加が不安定な子を見ると、大人はつい理由を探したくなります。
「やる気がないのかな」
「家の人が連れて来られないのかな」
「何かトラブルがあったのかな」
もちろん、理由を把握することが必要な場面もあります。安全確認が必要な場合や、家庭・学校・本人の状態に心配がある場合は、丁寧に状況を見ていく必要があります。
ただ、参加頻度が不安定になる背景は、いつも分かりやすいものとは限りません。
学校で疲れていて、外に出る力が残っていない日もあります。
家の予定や家庭の事情で、来られない日もあります。
友だち関係が少し不安で、行きたい気持ちはあるけれど足が向かない日もあります。
本人の中でも、「行きたい」と「今日は無理」が揺れていることもあります。
また、こども自身も「なぜ行けなかったのか」をうまく説明できないことがあります。
そのため、久しぶりに来た子に対して、最初から理由を聞き出そうとすると、こどもは答えに困ってしまいます。「ちゃんと説明しないといけない場所」と感じると、次に来るハードルが上がってしまうこともあります。
まず大切なのは、理由の確認ではなく、戻ってこられたことを受け止めることです。
久しぶりに来た子には、まず“歓迎”を伝える
久しぶりに来た子に対して、最初に伝えたいのは確認や指導ではありません。まずは、歓迎です。
たとえば、こんな一言です。
「来てくれてうれしいよ」
「久しぶり。顔が見られて安心したよ」
この時のポイントは、欠席の理由を先に聞かないことです。
もちろん、大人としては気になります。でも、こどもが場に入ってきた瞬間に理由を聞かれると、「来なかったことを説明しなければいけない」と感じてしまうことがあります。
久しぶりに来る子は、少なからず緊張していることがあります。
「怒られるかな」
「気まずいな」
「誰かに何か言われるかな」
そうした気持ちを抱えながら来ている子にとって、「来てくれてうれしいよ」という一言は、場に入るための安心材料になります。
まずは、「ここに戻ってきても大丈夫なんだ」と感じてもらうこと。その安心感があって初めて、こどもは少しずつ話せるようになります。
“つながりを切らない”ための基本フロー
参加頻度が不安定な子には、毎回同じ熱量で追いかける必要はありません。
むしろ、強く追いすぎると、こどもにとって負担になることもあります。
大切なのは、「来ない日」に無理に引っぱることではなく、「来た日」に安心して過ごせるようにすることです。
基本の流れは、次のように考えると整理しやすくなります。
1. 来ない日:無理に追わない
来なかった日があると、スタッフは心配になります。ただ、「来なかった=問題」とすぐに決めつけなくても大丈夫です。
まずは、スタッフ間で状況を共有します。
最近の様子はどうだったか。
前回来た時に気になることはあったか。
家庭や学校との連携が必要そうか。
本人に無理がかかっていなかったか。
必要以上に心配を膨らませすぎず、でも見落としもしない。そのバランスが大切です。
2. 必要なら、短くやさしく連絡する
連絡が必要な場合も、理由を聞き出す文章にしすぎないようにします。
たとえば、
「また来られる日に待ってるね」
「無理せず、来られそうな時に来てね」
「困っていることがあったら、いつでも言ってね」
このくらいの短さで十分です。
「どうして来ないの?」
「次は必ず来てね」
「ちゃんと連絡してね」
という言い方は、相手によってはプレッシャーになることがあります。
連絡の目的は、参加を促すことだけではありません。“あなたの居場所はまだここにあるよ”と伝えることです。
3. 来た日は、まず歓迎する
久しぶりに来た日は、理由を聞く前に歓迎します。
「来てくれてうれしいよ」
「待ってたよ」
「今日は来られたんだね。よかった」
この一言で、こどもは「責められない」と感じやすくなります。
大人にとっては何気ない声かけでも、こどもにとっては「また来てもいいんだ」と思える大事なサインになります。
4. その日の過ごし方を選べるようにする
久しぶりに来たからといって、すぐ活動に参加できるとは限りません。
話したい日もあれば、話したくない日もあります。
遊びたい日もあれば、まず休みたい日もあります。
みんなの輪に入りたい日もあれば、少し離れて様子を見たい日もあります。
だからこそ、いくつか選択肢を用意しておくと安心です。
「今日は話す?少し休む?遊ぶ?」
「まず座って見ているだけでもいいよ」
「途中から入っても大丈夫だよ」
選べる余地があると、こどもは自分のペースで場に戻りやすくなります。

“前回のつながり”を残しておく
参加頻度が不安定な子にとって、久しぶりに来た時に前回のことを覚えてもらえているのは、とても安心につながります。
たとえば、
「この前、絵を描いてたよね」
「前にやっていたカードの続き、置いてあるよ」
「あの時話してくれたこと、覚えてるよ」
こうした一言は、こどもに「自分は忘れられていなかった」と感じさせます。
特別なことをする必要はありません。
前回遊んでいたものを少し取っておく。
話していたことをメモしておく。
好きだった活動をスタッフ間で共有しておく。
それだけでも、次に来た時の関わりがつながりやすくなります。
「前回の続きがある」という感覚は、こどもにとって小さな安心になります。
それは、「毎回来なくても、自分の居場所はなくならない」というメッセージにもなります。
スタッフ間で関わりを共有する
参加頻度が不安定な子への関わりは、特定のスタッフだけが抱え込まないことも大切です。
あるスタッフとは話せるけれど、別のスタッフの日には入りづらい。
前回の様子を知っている人がいなくて、毎回最初から関係を作り直す。
スタッフによって声かけが違い、こどもが戸惑う。
こうしたことが続くと、こどもにとって居場所に戻るハードルが高くなることがあります。
スタッフ間では、次のようなことを簡単に共有しておくとよいです。
- 前回来た時に楽しんでいたこと
- 苦手そうだった場面
- 声をかける時に反応がよかった言葉
- 無理に誘わない方がよさそうな活動
- 次回来た時につなげられそうな話題
ポイントは、次に関わるスタッフが、「こどもが安心できる関わり」を少しイメージできることです。
スタッフの関わりがつながると、こどもは「大人によって毎回違う」と感じにくくなります。その安定感が、居場所全体の安心感につながります。

明日からの一歩
参加頻度が不安定な子に対して、明日から一つだけ意識するなら、久しぶりに来た時の第一声を「来てくれてうれしいよ」にすることです。
理由を聞くのは、そのあとでも遅くありません。
まず歓迎する。
その日の過ごし方を一緒に選ぶ。
話したくなったら聞く。
次につながる小さな一言を残す。
それだけで、こどもにとって「また来てもいい場所」になりやすくなります。
参加頻度が安定しないことは、必ずしも関係が切れているということではありません。
来られない日があっても、戻ってこられる。
少し空いても、また受け入れてもらえる。
毎回完璧に参加できなくても、自分のペースでつながっていられる。
そう感じられることが、こどもにとって大きな安心になります。
居場所は、毎日来る子だけのものではありません。
時々来る子にとっても、久しぶりに戻ってくる子にとっても、「ここに来てよかった」と思える場所でありたいものです。
まずは、来てくれたその日に、安心を渡す。そこから、細く長いつながりが育っていきます。
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