今回の放送では、一般社団法人URUFULLの伊波憲汰さんをゲストに迎え、放課後の居場所支援の現場で大切にしている「こどもの主体性」と「見守り」について伺いました。
こどもが何かをやってみようとしているとき、大人はどこまで口を出し、どこから見守ればよいのでしょうか。
危ないことは止めなければなりません。けれど、すぐに止めすぎると、こども自身が考えたり、失敗から学んだりする機会を奪ってしまうこともあります。
2026年7月15日に放送されたラジオ番組「Supporters’ Web Academy みんなで描こう支援のミライ」では、前回に続き、一般社団法人URUFULLの伊波憲汰さんをゲストにお迎えしました。
前半では、伊波さんがこどもの居場所支援に関わるようになるまでの歩みを伺いました。後半となる今回は、実際の支援現場でのこどもとの関わり方や、主体性を尊重しながら見守るために大切にしていることについて、さらに深くお話を伺いました。
目に見える行動だけで、こどもを決めつけない
伊波さんが放課後の居場所支援に関わるようになったのは、大学時代の学びやボランティア活動がきっかけでした。小学校教員を目指して学んでいた伊波さんは、教育実習で学校現場の多忙さを目の当たりにし、「今の自分にはすぐに教員になるのは難しいかもしれない」と感じたそうです。
そんなときに出会ったのが、放課後のこどもの居場所でした。
学校とは少し違う、福祉に近い現場。そこでは、伊波さん自身がそれまで持っていた「当たり前」が大きく揺さぶられたといいます。
こどもたちの行動は、大人から見ると「なぜそんなことをするのだろう」と感じることがあります。
たとえば、
- 思い通りに動いてくれない
- 約束を守れない
- 注意してもまた同じことをする
- 落ち着いて過ごすことが難しい
そうした姿だけを見ると、「困った行動」として受け止めてしまいがちです。
けれど、伊波さんは現場でこどもたちと関わる中で、目に見える行動だけでは分からない一面に何度も出会ってきました。
番組の中で印象的だったのが、普段は暴れん坊で、職員を悩ませることも多かったこどものエピソードです。
あるお泊まりの場で、その子がこっそりマッサージ大会を企画してくれていたそうです。いつもは大人を困らせるように見えていた子が、実は人を喜ばせようとする優しさを持っていた。
その姿に触れたとき、伊波さんは「自分はこの子の一部だけを見ていたのかもしれない」と感じたと話していました。
こどもの行動の背景には、言葉になっていない思いや、その子なりの優しさ、楽しさ、困り感が隠れていることがあります。
だからこそ、支援者には、すぐに評価するのではなく、背景を想像するまなざしが求められます。
フラットな関係が、安心できる居場所をつくる
伊波さんのこどもとの関わり方で印象的だったのは、上下関係を強くつくらない姿勢です。
大人だから上、こどもだから下。教える側と教えられる側。管理する側と管理される側。
そうした関係ではなく、伊波さんはこどもたちと同じ目線で関わることを大切にしていると語っていました。
もちろん、危険なことや本当に止めなければならないことはあります。けれど、こどもに対して一方的に「ダメ」と言うだけではなく、次のように伝えながら関わっていくことを意識しているそうです。
- 「こういうリスクがあるよ」
- 「こうなったらどうする?」
- 「それでもやってみたい?」
大人がすぐに答えを決めるのではなく、こども自身が考えられるように関わる。その積み重ねが、こどもたちにとって「ここでは自分の話を聞いてもらえる」「自分で考える余地がある」と感じられる空気につながっているのかもしれません。
番組の中では、こどもたちが「もう来ない」と言いながらも、数日後にはまた自然に居場所へ戻ってくるという話もありました。
それは、居場所が単に楽しい場所だからというだけではありません。
失敗しても、少し荒れても、また戻ってこられる場所になっていること。その安心感が、こどもたちにとっての居場所を支えているのだと感じました。
こどもの主体性を尊重するということ
今回の放送で大きなテーマになったのが、「こどもの主体性を尊重しながら、必要な見守りをどう行うか」ということでした。
伊波さんは、こどもが何かをやりたいと言ったとき、できる限りすぐに止めるのではなく、まずは見通しやリスクを伝えるようにしているそうです。
たとえば、こどもが何かに挑戦しようとしているときには、
- それをすると、どんなことが起こるか
- どんなリスクがあるか
- 困ったときにどうすればよいか
- そのうえで、自分はどうしたいのか
を一緒に確認していきます。
大人が答えを決めて渡すのではなく、こども自身が判断できるように支えること。
そして、実際にやってみてうまくいかなかったときには、一緒に振り返り、次にどうするかを考えること。
この姿勢は、こども支援の現場においてとても大切です。
主体性を尊重することは、ただ自由にさせることではありません。大人が責任を手放すことでもありません。
危険や失敗の可能性を一緒に確認しながら、こどもが自分で選び、自分の経験として学んでいけるように支えること。
そのための距離感こそが、「見守り」なのだと感じました。
一人で抱えず、チームで支援する
一方で、どこまでやらせてよいのか、どこで止めるべきなのか。その判断は簡単ではありません。伊波さんも、こどもの主体性を大切にする中で、「やらせすぎではないか」と職員から言われることもあると話していました。
だからこそ大切になるのが、チームで話すことです。
こどもがいる時間帯は、職員同士でじっくり話す余裕がなかなかありません。そのため、こどもたちが来る前や帰った後の短い時間を使って、気になったことや次の関わり方を共有しているそうです。
現場で共有しているのは、たとえば次のようなことです。
- 今日、気になったこどもの様子
- うまくいった関わり方
- 次回試してみたい声かけ
- 職員それぞれの見立て
- 支援者自身が迷っていること
「自分はこう関わりたいと思っている」「次はこうしてみたい」「あなたならどう考える?」
そうしたやりとりを重ねることで、一人の支援者の感覚だけに頼らず、チームとしてこどもを見守ることができます。
こどもの居場所支援では、支援者自身も迷います。正解が一つではないからこそ、互いの視点を持ち寄りながら考えることが、よりよい関わりにつながっていきます。
こどもと一緒に遊び続けるという原点
伊波さんは現在、現場をまとめる立場として、行政や外部の方とのやりとりも増えていると話していました。
役割が変われば、求められる仕事も変わっていきます。現場の調整、職員との共有、外部との連携。支援を続けるためには、こどもと直接関わる時間以外にも大切な仕事があります。
それでも伊波さんは、「こどもたちといっぱい遊びたい」と語っていました。
こども支援の現場において、遊ぶことは決して“おまけ”ではありません。
一緒に笑うこと。ふざけ合うこと。
何気ない時間を過ごすこと。同じ場所で、同じ時間を共有すること。
そうした日常の関わりの中で、こどもは少しずつ大人を信頼し、自分を出せるようになっていきます。
伊波さんの「こどもよりもこどもでありたい」という言葉には、支援者としての大切な原点が表れているように感じました。
こどもが「また帰ってきたい」と思える居場所へ
こどもの居場所とは、特別なプログラムだけで成り立つものではありません。
そこにいる大人が、こどもの行動の奥にある気持ちを見ようとすること。こどもの主体性を信じながら、必要なときにはリスクを伝えること。そして、一人で抱え込まず、チームで支え合うこと。
そうした日々の積み重ねが、こどもにとって「また帰ってきたい」と思える居場所をつくっていきます。
放課後の居場所支援は、こどもに何かを教える場所であると同時に、こどもが自分らしくいられる時間を支える場所でもあります。
今回の放送からは、こどもの主体性を尊重することの難しさと、その難しさに向き合い続ける現場のあたたかさが伝わってきました。
◾ 動画のご案内
🎙【タイトル】
Supporters’ Web Academy みんなで描こう支援のミライ(2026年7月15日)
📌今回の放送では、一般社団法人URUFULLの伊波憲汰さんを迎え、こどもの主体性を尊重する関わり方や、放課後の居場所支援の現場で大切にしている見守り、チームで支援することの意味について伺いました。
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