参加しない子も尊重する“居場所の設計”

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こどもの居場所で、ゲームや工作、学習タイムなどを用意していると、必ずといっていいほど「参加しないこども」がいます。

みんなが輪になって遊んでいる横で、ひとりで本を読んでいるこども。声をかけても「いい」と首を横に振るこども。近くにはいるけれど、ずっと様子だけを見ているこども。

大人としては、つい「楽しめていないのかな」「声をかけた方がいいかな」「このままで大丈夫かな」と気になります。けれど、ここで大切なのは、“参加しない”をすぐに“孤立”や“拒否”と決めつけないことです。

居場所は、全員を同じ活動に参加させる場ではありません。むしろ、参加する・見ている・休む・一人で過ごす、どの過ごし方も認められる場であることが、安心感につながります。


目次

よくある現場の困りごと

たとえば、こんな場面があります。

スタッフがボードゲームを用意し、こどもたちが数人で遊び始めました。部屋の端には、まだ参加していないこどもが座っています。表情は硬く、でもゲームの様子をちらちら見ています。

スタッフは気になって声をかけます。

「一緒にやろうよ」
「見てるだけじゃつまらないでしょ?」
「せっかくだから入ってみたら?」

もちろん、悪気はありません。むしろ「楽しんでほしい」という気持ちから出た声かけです。ただ、こどもによっては、この声かけが“参加しなければいけない圧”として伝わることがあります。

参加しない理由はさまざまです。初めての場で様子を見たいだけかもしれません。人間関係を観察している途中かもしれません。疲れていて静かに過ごしたいのかもしれません。ルールが分からず不安なのかもしれません。

つまり、参加しない姿は、必ずしも「楽しめていない」ではなく、その子なりに場へ慣れようとしている途中とも考えられます。

場に参加しないこどもへのNG・OK対応の比較画像

NG対応:参加させることをゴールにする

参加しないこどもを見ると、大人はつい「どうやって輪に入れるか」を考えがちです。でも、居場所づくりでまず大切なのは、活動に参加させることよりも、その場にいてもいいと思える感覚を育てることです。

避けたい対応は、次のような関わりです。

「なんでやらないの?」
「みんなやってるよ」
「一人でいても楽しくないでしょ」
「じゃあ、見てるだけね」

こうした言葉は、こどもにとって「参加しない自分はよくないのかも」と感じるきっかけになります。特に注意したいのは、“参加しないこと”を大人が気まずそうに扱うことです。

大人が焦ると、こどもも焦ります。大人が「この子だけ外れている」と見てしまうと、周囲のこどもたちも同じように見始めます。

結果として、本来は安心できるはずの場所が、「何かしなければいけない場所」になってしまうことがあります。


OK対応:参加の手前に“選べる余白”をつくる

参加しない子への関わりで大切なのは、無理に輪へ入れることではなく、参加しやすい入口をいくつか用意しておくことです。

たとえば、いきなり「一緒にやる?」と聞くのではなく、こんな選択肢を置いておきます。

「見てるだけでも大丈夫だよ」
「ルールだけ聞いてみる?」
「途中から入りたくなったら言ってね」
「このカード配る係だけやってみる?」

ポイントは、参加/不参加の二択にしないことです。「やる」か「やらない」だけだと、こどもにとってはハードルが高くなります。でも、「見る」「近くにいる」「一部だけ手伝う」「途中から入る」「今日は休む」など、段階があると、自分のペースで場に近づきやすくなります。

これは、こどもを放置することとは違います。大人がそっと気にかけながら、その子が自分で距離を選べるようにするという関わりです。

場に参加しないこどもの活動の選択肢を可視化した画像

具体的な声かけ例

参加しないこどもに声をかけるときは、誘うより先に、安心して断れる空気をつくることが大切です。たとえば、最初の声かけはこのくらいで十分です。

「見てるだけでも大丈夫だよ」
「気になったらいつでも入れるよ」

少し興味がありそうなときは、参加を迫らず、入口を小さくします。

「ルールだけ聞いてみる?」
「1回だけ見本やってみるね」
「カード配る係だけお願いしてもいい?」

逆に、疲れていそうなときや距離を取りたそうなときは、活動に近づけるより、休める選択肢を出します。

「今日は静かに過ごす日にしようか」
「困ったら声かけてね」

ここで大切なのは、声をかけた後に待つことです。

よい声かけをしても、その直後にじっと反応を見つめられると、こどもはプレッシャーを感じます。声をかけたら、少し視線を外す。別の作業をしながら見守る。必要なときに戻ってこられる距離にいる。

この“待つ関わり”が、参加しないこどもにとっての安心になります。


居場所の設計として考える

参加しないこどもへの対応は、声かけだけでなく、場の設計でも変わります。

たとえば、部屋の中に「活動する場所」しかないと、参加しないこどもは行き場を失います。でも、次のような場所や雰囲気があると、こどもは自分の状態に合わせて過ごし方を選びやすくなります。

  • 活動スペースの近くに、見学できる席をつくる。
  • 一人で読書や休憩ができる場所を用意する。
  • 途中参加しやすい遊びを置いておく。
  • スタッフが全体を見渡せる位置にいる。
  • 「参加しなくても大丈夫」という空気を、普段から言葉と態度で示す。

大事なのは、“参加している子”だけが居場所の中心にならないようにすることです。輪の中にいる子も、端で見ている子も、静かに過ごしている子も、同じようにその場の一員です。居場所の安心感は、「何をするか」だけでなく、何もしなくても責められないことからも生まれます。

居場所の設計に関する画像

6. 明日からの一歩

明日から一つだけ意識するなら、参加していない子に対して、最初にこう伝えてみてください。

「見てるだけでも大丈夫だよ」

この一言があるだけで、こどもは「今すぐ参加しなくても、ここにいていいんだ」と感じやすくなります。

参加は、安心のあとについてくることがあります。だからこそ、居場所で大切なのは、こどもを活動に引き込むことだけではありません。

参加しない時間も、その子にとって必要な時間かもしれない。

そう考えられる大人がいる場所は、こどもにとって、入りやすく、戻ってきやすい場所になっていきます。


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