2026年6月24日(水)、JICA課題別研修「基礎教育における格差対策のための教育行政強化」において、研修講師を務めました。
今回の講義は、特定非営利活動法人レキオウィングス様からのご依頼により実施されたものです。
当日は、「沖縄県内の様々な教育の格差対策の事例について」をテーマに、沖縄におけるこどもの貧困対策や教育格差対策、地域の居場所づくり、多機関連携のあり方などについてお話ししました。

沖縄の事例を、各国で活かせる学びに
今回の研修には、開発途上国の教育行政に関わる方々が参加されました。
講義では、沖縄の取り組みをそのまま「コピー」するのではなく、各国の制度や文化、地域資源に置き換えて考えられるよう、教育格差対策の基本的な考え方や支援の枠組みをお伝えしました。
特に、こどもの貧困や教育格差を、単に「お金の不足」として捉えるのではなく、次のような機会の差として整理しました。
- 学習・進学の機会
- 体験活動や地域活動に参加する機会
- 安心できる大人や地域とつながる機会
- 将来に希望を持ち、選択肢を広げる機会
こどもの貧困は、不登校や社会的孤立、家庭全体の孤立につながることがあります。だからこそ、本人や家庭の責任としてではなく、環境・制度・支援不足の問題として考える視点が大切です。
学校だけではない、多様な学びと支援の場
また、講義では、日本におけるこども施策の動向や、不登校支援の考え方についても紹介しました。
近年は、学校復帰だけを目指すのではなく、学校以外の多様な学びの場を保障していく流れが広がっています。教育支援センターやフリースクール、ICTを活用した学びに加え、公民館や図書館など、地域にある資源を活かす視点も重要になっています。
沖縄の事例としては、こどもの貧困が全国よりも深刻な課題として可視化されてきた経緯や、行政・学校・地域・NPOが連携しながら、こどもの居場所、学習支援、支援員の配置、実態調査などを進めてきたことを紹介しました。
地域のセーフティネットとしての「こどもの居場所」
特に「こどもの居場所」は、食事提供や学習支援だけではありません。
地域の中で、こどもや家庭を支えるために、次のような多様な役割を担っています。
- 食事提供や学習支援
- 安心できる大人との関係づくり
- 相談・見守り
- 体験活動の機会づくり
- 家庭との接点
- 学校・福祉・行政への橋渡し
こども食堂や地域の居場所は、単なる支援の場ではなく、地域のセーフティーネットとして機能しています。
学校の外に、学びと社会参加を回復するための拠点をつくることは、教育格差対策の重要な一つの形です。
多機関連携と、限られた資源を活かす支援設計
講義の後半では、多機関連携の必要性についても取り上げました。
教育格差の背景には、家計の困難、保護者の就労や健康の問題、虐待・ネグレクト、ヤングケアラー、不登校、地域資源の不足、体験機会の不足など、学校だけでは解決が難しい要因が複雑に関わっています。
そのため、教育・福祉・地域・NPO・企業などが連携し、困難に気づき、見立て、必要な支援につなぎ、継続的に見守る仕組みが必要です。
また、支援を広げていくためには、資金だけに依存しない発想も求められます。講義では、地域にすでにある資源をどう活かすかという視点も共有しました。
たとえば、次のような資源が支援につながる可能性があります。
- 空きスペース、公民館、図書館、学校施設
- 余剰食品、物品、教材
- 地域の大人、学生ボランティア
- 企業の人材や専門性
- 職業体験、キャリア教育、文化・スポーツ・自然体験の機会
さらに、行政・学校・NPO・企業の間をつなぎ、それぞれの言葉や文化を翻訳しながら、支援資源を可視化していく中間支援組織の役割についてもお伝えしました。
各国で応用するための問い
講義では、参加者の皆さまが自国の状況に置き換えて考えられるよう、次のような問いも共有しました。
- 学校に来られないこどもは、どこで見つかるのか
- 学校以外に、こどもと接点を持つ大人は誰か
- 地域に使える場所・人材・組織はあるか
- 教育行政と福祉行政は連携しているか
- つなぎ役は誰が担えるのか
沖縄の事例を一つのモデルとして紹介しながらも、重要なのは、そのまま同じ形で取り入れることではありません。
それぞれの国や地域の制度、文化、資源に合わせて、こどもを支える仕組みをどう設計できるかを考える時間となりました。

参加者からの感想
講義後、参加者の方からは、次のような感想をいただきました。
- 「日本の制度について勉強になった」
- 「ぜひ母国で『居場所』や『こども食堂』にチャレンジしたい」
今回の講義を通して、沖縄で積み重ねられてきたこども支援の実践や、地域でこどもを支える仕組みづくりの考え方が、国や制度、文化の違いを越えて、各国の教育格差対策を考えるヒントになり得ることを感じました。
特に、「居場所」や「こども食堂」という取り組みは、日本独自の制度や仕組みとして紹介するだけでなく、地域にある人・場所・資源を活かしながら、こどもや家庭を支える実践として捉え直すことで、さまざまな国や地域でも応用できる可能性があります。
また、参加者の皆さまが、自国での実践を具体的にイメージしながら講義を受け止めてくださったことは、私たちにとっても大きな学びとなりました。
Supporters’ Supporterでは、今後も沖縄のこども支援の現場で培われた知見をもとに、支援に関わる方々が学び合い、それぞれの地域で実践につなげていけるような取り組みを続けてまいります。
Supporters’ Supporterでは、こども支援団体向けのコンサルティング、スーパーバイズ、研修のご相談も随時承っています。
ご関心のある方は、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
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この取組は、多くの方のご寄付によって支えられています。学びたい支援者が安心して学び続けられる環境づくりに、ぜひご協力ください。
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